3. MAASのセットアップ
Juju 2.0はMAASの1.9系と2.x系に対応しています。
本例ではMAAS 2.xをインストールするため、Ubuntu Server 16.04の最新版をインストールします。
3.1 ダウンロードとセットアップ
Ubuntu Server 16.04のインストールイメージは公式サイトからダウンロードできます。
ダウンロードしたISOイメージをDVDイメージに書き込んだメディアを用意し、DVDブートしてください。
Ubuntu Server 16.04は最小インストールを行い、セットアップ時にはOpenSSH serverを追加してください。
インストール後に再起動します。
Ubuntu Server 16.04が起動したらユーザーログインして次のコマンドを実行し、ソフトウェアアップデートを行います。
Linuxカーネルの更新パッケージがあった場合は再起動します。
3.2 MAASのインストール
MAASのインストール手順は公式サイトに従います。
% sudo apt update
% sudo apt -y upgrade
3.3 MAASへのログイン
MAASへのログインまでの手順は公式サイトに従います。
MAASへログインするには管理ユーザーをまず登録する必要があります。 MAASサーバーで次例のようにコマンドを実行して、MAAS管理者を登録します。
% sudo maas createadmin --username=admin --password=password [email protected]
ブラウザーを開いてロケーションバーにhttp://<region controller address>/MAAS
を入力してMAASダッシュボードにアクセスします。
先の手順で登録したユーザーとユーザーに対して設定したパスワードを入力します。
3.4 MAASのDHCPネットワーク設定
MAASはDHCPサーバーとDNSサーバーを使って、ノードに対してネットワークの設定と名前引きの設定を行っています。 インストール直後はDHCPサーバーが動作していないため、そのための設定を行います。
本例ではMAASをシングルノードでインストールした場合の手順を記述します。
- MAASダッシュボードにログインします。
- 上部メニューのNetworksをクリックします。
- Networksから管理用として利用するネットワークサブネットをクリックします。
- サブネットのサマリー情報画面が表示され、ネットワークの使用状況などが確認できます。
- Reservedの項目で「Reserve range」か「Reserve dynamic range」のボタンを押下します。
- 確保するIPアドレスの範囲を指定します。ここで指定したIPアドレスを除くIPアドレスの範囲がMAAS用として利用されます。すでに使用中のIPアドレスはUsedに一覧表示されます。
- Networks画面に戻り、DHCPサーバーを動かすネットワークサブネットのVLANの項目をクリックします。
- Default VLAN in fabric-X画面が表示されます。
- Take actionを押下してProvide DHCPを選択します。
- DHCPの範囲を設定したあと「Provide DHCP」ボタンを押下します。
3.5 MAASコントローラーの確認
MAASノードのコントローラーを選択して、RegionコントローラーとRackコントローラーの状態を確認します。
DHCPサーバーが起動しているか確認します。本例ではIPv6を使わないため、dhcp6にチェックが入っていなくても問題ありません。
3.6 MAASへノードの登録
MAASに物理マシンを登録するには、物理サーバーのネットワークの設定でMAASの管理用ネットワークと同じセグメントに接続します。 IPMI通信に対応する物理サーバーであれば、電源をオンにするだけでMAAS管理下にサーバーを追加するための「Enlist」という処理が走ります。
この処理を行うために、MAAS管理用ネットワークとBMC NICに設定したネットワークIPアドレス間で疎通できる必要があります。 そのような環境を用意できない場合は、物理サーバーのBMC NICをMAAS用のネットワークに接続してください。 また、サーバーのBMC NICのIPアドレスをそのセグメント内のものに変更してください。
「Enlist」の処理が終わるとサーバーは自動的に電源がオフになり、MAASのノード一覧に登録されます。 ノードは大抵XXXXX.maasというランダム生成した名前で登録されますので、その名前をクリックして次の画面に切り替えたら必要に応じて、適切な名前に変更してください。
3.7 MAASへ仮想ノードの登録
仮想マシンをMAASに登録するには、次の手順(Ubuntu MAAS 1.9 クイックセットアップガイドの「ESXi VMをMAASで利用する」または「KVM VMをMAASで利用する」) 以降の手順に従ってください。本書では説明を省略します。
3.8 ノードへのタグの設定
JujuとMAASを連携した場合にJujuコマンドを使ってサーバーを識別するため、MAASのタグ機能を使います。
通常はなにも指定せずにjuju bootstrap
コマンドやjuju deploy
コマンドを実行すると利用していないノードをランダムに利用します。
これを必要なサーバーに必要な役割を担わせるため、タグでサーバーを識別するように設定しましょう。
設定は非常に簡単で、ノードをクリックして「Machine summary」の右横の「Edit」ボタンを押下し、「Tags」にタグを設定します。タグは複数指定できます。
本書では次のようなマシンの登録とそのノードへタグを設定する構成を想定しています。 OpenStackのコンポーネントの多くをphysical1と2にデプロイするため、性能の良いものをおすすめします。 Nova-LXD構成でデプロイしたい場合は、そのノードにUbuntuシステムをデプロイするためのディスクの他、LXD用のストレージが別途必要です。
マシン種類 | タグ | スペック | 用途 |
---|---|---|---|
物理サーバー | physical0 | 4Core CPU/24GBメモリー/146GB | Bootstrap |
物理サーバー | physical1 | 32Core CPU/64GBメモリー/256GB | システムデプロイ用 |
物理サーバー | physical2 | 32Core CPU/64GBメモリー/256GB | システムデプロイ用 |
物理サーバー | physical3 | 4Core CPU/24GBメモリー/146GB | Compute KVM |
物理サーバー | physical4 | 16Core CPU/32GBメモリー/システム用300GB,LXD用300GB | Compute LXD |